ローヤルゼリーは、健康食品として有名ですが、どんなものだかご存知ですか?
ローヤルゼリーは、若いはたらきバチの咽頭腺から分泌される乳白色の液体で、強い酸味が
特徴です。
働きバチも、女王蜂も、同じ卵から孵り、同じ幼虫として生まれますが、働きバチになる幼虫
は、はちみつと花粉がエサとして与えられ、女王蜂の幼虫は、ローヤルゼリーが与えられます。
その後、成虫になっても、女王蜂は一生、ローヤルゼリーだけが与えられます。
ローヤルゼリーは、女王のための食べ物なのです。
エサの違いで、全く違うミツバチになるのですからビックリですね。
一体、ローヤルゼリーはどういうもので、どんなパワーが秘められているのでしょう?
女王蜂と働きバチを比べてみると、ローヤルゼリーのパワーの秘密がわかります。
体の大きさは、女王蜂の方が1.5〜2倍ほど大きく、寿命は、働きバチの約1ヶ月に対して、
女王蜂は数年生きます。また、女王蜂の仕事は、一生卵を産み続けることですが、1日に
1000個以上、時には2000個も産みます。これは女王蜂の体重と同じくらいの量になるのです。
こんな過酷な仕事を一生続けられるのも、ローヤルゼリーのパワーのおかげです。
しかし、ローヤルゼリーは、未だにその成分や機能が解明されていない物質があるほど複雑で
独特なものです。特に、ローヤルゼリー特有の成分として有名なのが、脂肪酸の1つである
「10-ハイドロキシデセン酸」は、ローヤルゼリーにしかない物質で、その含有量がローヤル
ゼリーの品質を決める重要なポイントになっています。
また最近では、ローヤルゼリーを構成するタンパク成分の一つで「アピシン」(ミツバチの
学名
アピス・メリフェラより命名)という糖タンパクがあり、これが女王バチの驚異的な成長
要因であることが分かっています。
他にも、ローヤルゼリーの特徴的な成分として、大量に含まれるアセチルコリン、類パロチン、
ビオプテリンなどがあり、それに加えてタンパク、糖質、脂質、ビタミン、ミネラルなど、
40種類を超える栄養素が凝縮された、まさに完全栄養食品なのです。
女王バチになる幼虫の卵は、王台と呼ばれる特別な部屋に産み付けられます。
働きバチは、その王台に大量のローヤルゼリーを吐き出して、孵化した幼虫を
育てます。すると、その幼虫は、女王バチになるのです。
女王バチは、一つの巣に一匹だけの存在で、一生涯卵を産み続けます。
もし、何らかの理由で女王バチがいなくなると、文字通りハチの巣を突っついた
ような大騒ぎになってしまいます。
卵を産む者がいなくなると、やがて巣は壊滅してしまいますからね。
女王バチがいなくなると、働きバチは、孵化して3日以内の幼虫を必死に探し出します。
次の女王バチ候補として、その幼虫の巣穴を王台にリフォームし、その王台で
ローヤルゼリーで育てられた幼虫が新女王バチになり、一件落着となるわけです。
そこで養蜂家は考えました。
女王バチをわざと隠して、人工的に作った王台を、巣にいくつもセットして
孵化して3日以内の幼虫を入れてやればどうだろう?
養蜂家の目論見はズバリ的中!
働きバチは、その人工王台にローヤルゼリーを吐き出しました。
そんなミツバチの習性を利用した生産技術で、ローヤルゼリーの大量生産が
可能になったのです。
ミツバチにとっては、とても迷惑で可愛そうな話ですが、それも「6本足の家畜」
といわれる所以ですね。