みつばちは、お腹の分泌腺から出るロウ(蜜ロウ)を材料にして巣を作ります。
みつばちの巣穴は六角形ですが、なぜ六角形なのでしょう?
三角形では部屋が狭くて使いづらくなりますし、四角形だと耐久性が弱くなります。
その他の多角形だと、となり同士で隙間ができてしまいます。
六角形なら隣同士で隙間を開けることなく、スペースを有効に使うことができますし、材料も
最小限で、ムダなく構築できる優れた形なのです。
構造物の形で一番耐久性がある形は「円」といわれていますが、六角形は、その円に近い形状
で、耐久性にも優れる一番いい形なのです。
みつばちの巣を真横から見てみると、一枚の板のようになっていて、その両側に六角柱がたくさ
ん付いている構造になってます。しかも、穴から卵や幼虫、集めてきた花蜜や花粉が落ちない
ように、少し上向きに傾斜がつけられています。
その板が複数枚作られて、みつばちの巣になっているのです。
ちなみに、みつばちは、2種類の営巣型に分けられます。
一つは熱帯地域に住んでいて、解放された空間に巣を作る、一枚巣板タイプ。
もう一つは、寒い環境にも適応して、閉鎖した空間に複数の巣板を作るタイプです。
みつばちの巣穴の底は、ピラミッドのような形状になっており「マラルディーのピラミッド」
と呼ばれています。マラルディは18世紀の天文学者で、このピラミッドのような形状を発見し
た人です。
ドイツのケーニッヒという数学者が、そのピラミッドを構成する菱形の2つの角度を、何度に
すれば最小限の材料でピラミッドを作れるか、計算したところ、109度26分と、70度34分とい
う答えが出ました。
実際に、ミツバチの巣の角度を測ってみると、109度28分と、70度32分でケーニッヒの計算と
たったの2分しか違わなかったのです。
その結果に、ケーニッヒは大変感動したそうです。
しかし、後にイギリスの数学者が計算し直したところ、正解はミツバチの方だったのです。
定規も分度器も使わずに、最小限の材料で精巧に巣を作ることができるとは・・
みつばちは、自然界のすご腕の設計士ですね。
そんなミツバチの巣の構造は、ハニカム構造(honeycomb はちの巣という意味)とよばれ、
その優れた構造は、軽量化と強度が求められる飛行機の翼や人工衛星、スペースシャトルなど
にも応用されているのです。
人間が考え付く何万年も前からこのような建築物を作るとは・・
みつばちは、自然界の偉大な大工さんですね。