はちみつ=甘い・・当たり前のように思い浮かびますが、あんなに甘いものが自然の中で
作られてるって、考えてみると不思議ですよね?
子供の頃、花を摘んで後ろからチューッと蜜を吸ったことがある人もいるでしょう。
でも、花の蜜ってそんなに甘くなかったですよね?
水っぽくて、微かに甘い蜜だったと思います。
原料である花の蜜がそんな感じなのに、どうしてはちみつはあんなに香り高く濃厚な甘味なの
でしょう?
みつばちが、花の蜜を巣に持ち帰って、砂糖でも混ぜてるんでしょうか?(笑)
花の蜜がはちみつになる過程で、ミツバチは2つのテクニックを使います。
このテクニックが何なのかは追って説明することにします。
まずは、花畑から蜜を持ち帰ったみつばちを観察してみましょう。
花畑で蜜を集めたミツバチは、蜜胃という器官に、花の蜜をためこんで巣に戻ってきます。
集めた蜜を、巣の仲間に口移しで渡すと、花畑までの距離と方角を示す「8の字ダンス」を
踊り、仲間に花畑の場所を教えて再び飛んでゆきます。
蜜を受け取ったミツバチは、蜜を巣穴の壁面に伸ばした後、羽をはばたかせて、風を送って
います。これは、風を送って蜜の水分を飛ばしているのです。
花の蜜は、水分が多く、糖度40%ほどのビチャビチャした蜜ですが、水分を飛ばすことで、
糖度80%ほどに高めたものがはちみつになるのです。
これが一つ目のテクニックです。
テクニックというより、ほとんど力仕事ですけどね。
蜜の糖度が80%程になったら、ミツバチは、お腹の分泌腺からミツロウを出して、蜜の
入った巣穴にフタをします。はちみつは吸湿性があるので、フタをしないと湿気を吸って
しまうからです。ですから、ミツロウのフタは、はちみつが完熟しましたよ。という合図
なのです。
あれっ、じゃあ、もう一つのテクニックって何だよ? って思いますよね。
もう一つのテクニックは、目には見えないのですが、花畑でミツバチが蜜を採った時から
始まっているのです。それは、インべルターゼというミツバチが持つ消化酵素の添加です。
ミツバチの体内で、花の蜜にインべルターゼが加えられると、花の蜜の糖分であるショ糖を
ブドウ糖と果糖に分解し始めます。ミツロウのフタがされる頃には分解が終わり、完熟した
はちみつになるのです。
また、純粋はちみつには、花粉がたっぷり含まれます。これが高い栄養価と、はちみつが摂れ
た花の香りを特徴付けるのです。
みつばちの体重は約0.1gで、その40%ほどの重さの花の蜜を運ぶことができます。
しかし、40mgの花の蜜を集めて来たとしても、糖度を2倍に高めたはちみつは、半分の20mg
になってしまいます。
みつばち一匹が、一生の内に作るはちみつの量は、小さじ1杯ほどといわれているため、とても
貴重な食べ物といえますよね。
ブドウ糖と果糖は、これ以上分解されることがない、糖の一番小さな形である単糖類ですから
私たちがはちみつを食べると、胃を煩わすことなくスムーズに体に吸収されます。
ブドウ糖は、皆さんご存知のお通り、エネルギー源の代表格ですね。
もう一つの果糖の特徴は、ブドウ糖よりもゆっくり体に吸収されることで、急激な血糖値の上昇
を防いでいることです。
血糖値が上がるとリラックス感を得られますが、果糖の働きでゆっくり血糖値が上がるので、
リラックスした時間をより長く過ごせるのです。
これが砂糖なら、一気に血糖値が上がると、すぐに下がってしまうので、またリラックス感を
求めて甘いお菓子が欲しくなるという悪循環になってしまい、肥満の原因になります。
はちみつがダイエットに良いという話を聞いたことがあるかもしれませんが、こういった
理由からだと思います。はちみつを食べたからといって、痩せる効果はありませんからね。
というわけで、ミツバチが、人間の体に優しい糖分に加工してくれたものが、はちみつなの
です。