みつばちの病気で、一番怖いのは「アメリカ腐蛆(ふそ)病」という病気です。
これは、みつばちの幼虫がかかる病気です。
これにかかると、初めは真っ白だった幼虫の体が、だんだん褐色になり、最後は
ドロドロに溶けて死んでしまうのです。
みつばちが、幼虫の死体を一生懸命に巣の外に捨てようとしますが、ドロドロです・・
途中であきらめてしまいます。
死んだ幼虫には、アメリカ腐蛆病菌の芽胞(胞子)がたくさん付いているため
それが、みつばちを媒介して、他の幼虫に感染してしまうのです。
この病気を放っておくと、どんどん拡散していき、最後は巣が壊滅してしまいます。
養蜂業では、この病気が見つかった巣箱は、焼却処分することになっているため
みつばちにとっても、養蜂家にとっても一番怖い病気なのです。
もう一つ、腐粗病と呼ばれる病気に、ヨーロッパ腐蛆病があります。
アメリカ腐蛆病との違いは、腐蛆病菌が芽胞(胞子)を作らないことです。
これに感染した幼虫は、アメリカ腐蛆病のようにドロドロになって死なないので
みつばちが、簡単に死体を巣の外へ捨てられます。
しかし、この菌は、みつばちの体外で長い間生きるため、再発率が高くて厄介です。
巣に蔓延しないように、早期発見することが大切なのです。
チョーク病は、梅雨のジメジメした時期に、あまり栄養状態の良くない巣で起こる
病気です。ハチノスカビという真菌が、ハチの子に感染し、白っぽい菌糸で幼虫を
グルグル巻きにしてミイラのようにしてしまいます。
ハチの子は、菌糸が固まってチョークのようになるため、この名前が付いたのです。
ミイラになって死んでしまったハチの子は、みつばちに巣から出されてしまいます。
巣箱の前に、白いツブツブが落ちていたら要注意です。
対処法としては、コップに半分ほどの木酢を、巣枠の上からかけること。
これを一週間に3〜4回行い、ハチノスカビを除菌するとよいでしょう。
しかし、チョーク病は細菌性の病気ではないため、巣が壊滅してしまうほど恐ろしい
病気ではありません。
みつばちに、エサを十分に与えて、強群にすることで防ぐことができる病気です。
また、温かくなってくると、自然に治まることが多いのです。
チョーク病は、発生すると保健所に報告しなければならない、届出伝染病に指定されて
いますが、発生したからといって、そんなに悲観的になる必要はありません。