商業養蜂で飼われているミツバチは、ほとんどが西洋みつばちです。
西洋みつばちは、養蜂業のために品種改良されたミツバチですが、日本に古来から生息する
「日本みつばち」は、野生種です。
西洋みつばちの、黄色味が強いのに対して、日本みつばちは、黒っぽい色が特徴です。
また、体の大きさは、西洋みつばちよりも一回り小さく、約1.2センチほどです。
しかし、残念なことに、この日本みつばちは、養蜂業にあまり向いていません。
日本みつばちは、用意した巣箱に移り住んでも、気に入らないとすぐに逃げてしまいます。
昨日までいたのに、次の朝、巣箱を開けると、もぬけの殻なんてこともあり、とても気まぐれ
な性格で、飼うのが難しいのです。
また、養蜂用に品種改良された西洋みつばちに比べて、野生種の日本みつばちは、採蜜量が
1/5程度と、とても少ないのです。
しかし、日本みつばちにも、良いところはあります。
西洋みつばちに比べて性格がおとなしく、めったに人を刺しません。
刺されたとしても、そんなに痛くないのです。
それに、西洋みつばちがなりやすい病気も、ほとんどかかりません。
西洋みつばちは、愛情を込めて世話をしなければ元気がなくなりますが、日本みつばちは、
放っておいても元気です。
もともとが野生種だから強いのでしょうか?
このように飼いやすい性格のため、趣味で日本みつばちを飼う人が増えているようです。
何といっても、日本みつばちの作るはちみつは美味しく、採蜜量が少ないため希少価値が
あり、高値で取引されるため、プロの養蜂家でも飼う人が増えています。
西洋みつばちを飼う場合、ハチ屋さんで一群単位で購入することになりますが、日本みつばちは
野生種なので、その辺で飛んでるのを捕まえてくればいいのです。
どうやって? 網で? 1匹ずつ・・?
そんな気が遠くなることをやってたら、冬になってしまいます。(笑)
実は、日本みつばちを捕獲する秘策があるのです。
それは、金稜辺(キンリョウヘン)という東洋ランの一種に、日本みつばちが集まってくる
習性を利用して捕獲するのですが、その効果たるや目を疑うほど集まってきます。
でも、なぜ、日本みつばちは、キンリョウヘンに引き付けられるのでしょう?
それは、キンリョウヘンから、日本みつばちを誘因する何かしらの物質が出ているからだと
考えられています。
ランの種類は、花を食べにくる虫を近づけないように、アリをおびき寄せる目的で花の付け根に
ある蜜腺から蜜を出しています。花から蜜は出ません。
キンリョウヘンの花の付け根にも蜜腺があり、そこから蜜が出ています。
その蜜に、何かしらの誘引物質があるのかもしれません。
不思議なことに西洋みつばちは、キンリョウヘンに誘引されないのです。
キンリョウヘンは、巣箱の横にでも置いとくと良いでしょう。
日本みつばちが、巣箱を気に入ったら中に入ってくれますよ。