みつばちの巣の中で、働きバチは全てメスですが、交尾をするのは女王バチだけです。
女王バチは、生まれてから一週間経った頃の晴れた日に、交尾をするために空へ飛び立ちます。
オスも、生後2週間経った頃に、交尾のために空へ飛び立ち、決まった集合場所へ集まり
ます。その場所は、直径50〜200m、高さ10〜40mとかなり限定的な場所です。
どのような場所が、どういう理由で「集合場所」になるのかは、未だに解明されていないミス
テリーゾーンで、ミツバチの不思議な生態の一つですが、交尾の季節になると、各巣からそこ
へ数多くのオスが飛んでやって来るのです。
そして「集合場所」に女王バチがやって来て、性フェロモンを出しながら飛び回ります。
オスは、必死に女王バチを追いかけますが、女王バチは飛ぶのが速いので、なかなか追いつけ
ません。不思議なことに、女王バチが「集合場所」から外にはみ出してしまうと、オスは追って
来なくなるのです。
女王バチに追いつくことができる強いオスだけが、子孫を残すことができるのですが、交尾に
成功しても、オスは、女王バチの体に性器を引きちぎられて死んでしまうのです。
みつばちが空中婚を行うのは、近親交配を避けるため、よその巣の雄と交尾をするからです。
そのため、決して、自分の巣の中で交尾は行われません。
女王バチは、一度の空中婚で、8回前後の交尾をして自分の巣に戻り、その後一生涯卵を産んで
過ごします。
女王バチは、産卵をするときに、自分の体に取り込んだオスの生殖器から、自在に精子をふりか
けて産卵しますが、精子をふりかけた有精卵はメスになり、ふりかけなかった無精卵は、オスに
なるのです。
みつばちのオスは、無精卵から誕生する、生物学的にとても不思議な存在なのです。