ミツバチを飼う場所を養蜂場とか蜂場といいますが、飼うにしても一体どんな場所を選べば
いいのか迷うところです。
ミツバチはどんな環境だと喜んで働いてくれるのか?
また、どんな環境ならたくさん採蜜できるのか?
まず、当然のことながら、まわりに蜜源植物がないと話になりません。
蜜源植物が豊富な場所があればその中心を蜂場にすればいいのですが、なかなか見つけられな
かったり、その植物が蜜源だと気付かないこともあるでしょう。
でも、心配しないでください。ミツバチの活動範囲は半径2q、巣箱を中心にして直径4qの
広範囲になりますので、人間が見つけきれなくてもミツバチの方で案外見つけてくれるもの
です。東京のような大都会でも、ビルの屋上でミツバチを飼って採蜜したはちみつを販売して
いる業者がいるくらいですからね。
蜂場は、日当たりが良い場所がいいですね。日当たりが悪く、ジメジメとしたところは湿気が
多く病気になりやすいためミツバチが嫌います。また、逆に乾燥し過ぎてもだめです。
日当たりが良いといっても、夏の直射日光はミツバチにとってもキツイものです。
ミツバチ達は、水を吸ってきて巣箱内で放出しては気化熱で巣箱内の温度を下げようと頑張り
ますが、夏場にこのような重労働でミツバチを疲弊させては可哀そうですし、後々に群勢の衰
退に影響してきます。
それで、なるべく涼しい木陰ができるような木がほしいところですが、木は冬に日光を遮らな
いように落葉樹を選ぶのがポイントです。もし、そのような木がない場合は、蜜源にもなるよ
うな果樹を植樹するか、日差し除けを作って対応してもいいでしょう。
巣箱を設置する場所は南か東南に開けていて、冬に冷たい北西の風を受けない場所が理想です。
つまり、背に山があり、前面に平地が開けているような場所です。
もし蜂場に高低がある土地の場合は、北西の冷たい風を直撃しないように南か東に向かって低く
なっている方が良く、北や西に向かって低くなっている土地は避けた方が無難です。
また、北西の冷たい風が巣門から吹き込むのを防ぐために、巣門は南か東南に向けて設置しま
しょう。越冬時に巣箱に寒風が吹き込むと、凍え死ぬミツバチが出てしまうため注意が必要な
のです。日当たりがよくて南向きの居住地・・好みが人間と一緒で面白いですね。
近くに大きな川や海、または池沼がある場所も避けた方がいいでしょう。
理由は、大雨で川が氾濫した場合に、近くに巣箱を設置していたら流されてしまうからです。
海の近くでも同じで、台風などで高波が襲って来て流される可能性があるからです。
池沼の近くは、ジメジメしていて湿気が多くこのような環境はミツバチも嫌いますし、水辺の
近くにはヘビやカエルがたくさんいますからね・・
ミツバチは採蜜活動から帰ってくると、体が重くて着地に失敗し、転んで巣箱の下に落下する
ことがよくありますが、カエルはその下で待っていて、落ちてきたミツバチをバクバク食べる
のです。カエル一匹で数十匹以上食べてしまうので、バカにならないのです。
例えば、みなさんの家が坂道の途中にあるとして、自転車に乗って買い物に行く場合、坂道の
上と下、どちらにスーパーがあった方が楽ですか?たぶん上にある方がいいですよね。
買い物の後に重い荷物を持つことを考えれば、下り坂で家に帰れる方が楽ですからね。
ミツバチも同じで、蜜源が蜂場と同じくらいの高さにあればいいのですが、そうでなければ
蜜源よりも少し低い場所に蜂場を設けるほうが良いでしょう。
蜜を集めて重くなった体で、高いところに飛んで帰るのは辛いですもんね・・
蜂場を構えるときにもう一つ考えなければならないことがあります。
それは、他の蜂場が近くにないかということです。ミツバチの活動範囲は巣箱を中心として、
直径4qの広い範囲ですが、この範囲の中に他の蜂場があれば蜜源の奪い合いになり、蜜の
分け前も少なくなってしまいます。これは自分の蜂場にもいえることで、一か所に集中して
多くの蜂群を置くと、その分採蜜量も少なくなってしまいます。それで、一カ所に置ける蜂群
の数は50群(巣箱50箱)が限度です。また、100mでも離れたところで25群ずつ分割して2ヶ
所で運営した方が採蜜量は多くなるのです。
以上のことをまとめると、理想の蜂場は・・
@蜜源植物が豊富 A日当たりがよく乾燥、湿潤ではない B木陰ができる木がある
C南向きに開けていて、北西側に風よけの山がある D近くに大きな川や海、池沼がない
Eなるべく蜂場と蜜源の高さが同じ F半径2q以内に別の蜂場がない
ということになります。これだけ全部揃った良い場所なんてなかなか見つかりませんが、一度
巣箱を設置したらちょこちょこ動かすことはしない方がいいので、蜂場の選定は慎重に行いま
しょう。