みつばちの巣は、六角形の穴が規則正しく配列された「ハニカム構造」とよばれる美しい
一枚板で、それが複数並んでいます。みつばちはそこで産卵・育児をしたり、はちみつを
作って貯めたり、花粉を集めて貯蔵もしています。
しかし、女王バチはデタラメにあっちこっちに産卵しているわけではなく、働きバチも適当に
はちみつや花粉を貯めているわけではありません。
一見同じに見えるハニカム構造ですが、みつばち達は下図のようにちゃんと使い分けをして
いるのです。
女王バチは、巣箱の中心にある巣脾の真ん中から、うず巻きを描くように産卵していきます。
たまに産卵されない空房がみられますが、これはキレイに掃除されていないためです。
産卵できる空房が無くなると、となりの巣脾に移り、また同じように真ん中から産卵を始め
ます。
一方、働きバチは、両端の巣脾から順番に上から下に向かって蜜を貯めていくので、巣箱の
両端は貯蜜巣脾になるのが普通です。また花粉は、貯蜜圏と産卵圏の間に貯めています。
巣箱に入っている複数の巣脾を横から見ると、大体こんな感じです。
春先であれば産卵圏も大きく、多くの蜂児が育てられて群勢が大きくなりますが、流蜜期に
なると、女王バチの産卵よりも働きバチの蜜を貯めるスピードの方が早くなるため産卵圏が
圧迫されてきます。そんな時は、継箱を使います。
継箱とは底板のない巣箱のことで、一段目の巣箱のフタをはずして上に重ねて置くと、空間が
2倍の広さになります。継箱にも同じように複数の巣脾が入っているので、これに貯蜜にさせ
ればいいのです。また、巣箱の一段目と継箱の間に隔王板(体の大きい女王バチは通れないが
小さい働きバチは通れるくらいの網目が施された板
)を挟んでおけば、女王バチは継箱へは
上がって来れず、一段目でのみ産卵しますから、継箱から採蜜すれば、卵や蜂児が混じらない
キレイなはちみつが採蜜できるというわけです。
もちろん、採蜜はフィルターで不純物を濾しながら行いますが、はちみつに卵や死んだ幼虫が
混じってたらどうしよう、なんか汚いな・・と心配している人は、この話を聞けば安心でしょ
う。(笑)
このように養蜂業では、一般的に巣箱の一段目は産卵・育児専門に使うため、「育児箱」と
よんでいます。